認識することの力を知る彼等は、認識されることを嫌う。

ナショナリストによる勉強と趣味と活動の記録。グローバリストは大嫌い。

GDP成長率と政府支出の伸び率の相関の解釈について

この記事はPCで読まれることを想定しています。ほかのタブで、検索ワード=”GDP成長率 政府支出 相関” で画像検索するなどして、GDP成長率と政府支出の伸び率の関係を示す図を参照できる状態で読むことをお勧めします。

 

 

GDP成長率と政府支出の伸び率の相関図(not 前年比)

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1997~2015の、政府支出の伸び率とGDP成長率の関係(1年あたり)

出典:https://pbs.twimg.com/media/EiIJ3dpVoAEL_b4.jpg

1997年から2015年までに、中国の政府支出は約10倍に伸びたことになる。20年弱で軍事費を10倍にできる独裁帝国主義国。すごいな。この間の中国のインフレ率は大体4%くらいだった気がする。物価調整後の実質だと10倍まではいかないが、それにしてもだ。

 

 

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名目GDP成長率と政府支出の伸び率の関係

(20年間、累計の政府支出伸び率が500%以下の71か国)

 出典:https://rosemark.jp/wp-content/uploads/2019/03/abe_zaisei.pdf/

出典で明記されていないので推測でしかないが、横軸=政府総支出の伸び率は、物価で調整していない名目値だと思われる。

 

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実質GDP成長率と政府支出の伸び率の関係(20年間)

出典:https://rosemark.jp/wp-content/uploads/2019/03/abe_zaisei.pdf/

出典で明記されていないので推測でしかないが、横軸=政府総支出の伸び率は、物価で調整していない名目値だと思われる。縦軸が実質で横軸が名目の場合、そもそも散布図に意味がないのでは。右下の点が、政府支出が5倍、実質GDPが1.6倍を示す。仮に横軸が物価調整後の実質の伸び率だった場合、政府支出対GDP比が20%から60%、あるいは10%から30%になるといった大きな変化だ。20年間でそこまで大きく変わることは、考えにくいと思う。したがって、横軸が名目値、縦軸が実質値という、何とも解釈しづらい散布図だと推測する。(横軸が名目値なら、決定係数が0.3747と小さめなのも納得がいく?)

 

 

③ 

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2007年と2016年の比較による、実質GDP成長率と実質政府支出の伸び率の関係

出典:https://unemployed-economics.hatenablog.jp/entry/2019/05/27/200100

この記事はおすすめ。物価を調整して比べなきゃ意味ないだろって視点で書かれた数少ない良記事だと思う。

 

名目GDPの方が実質GDPよりも相関が強く出るのは当然で、インフレ率が高いと名目GDPと政府支出は大きくなりやすいためだ。

 

 

政府支出の増加はGDPの増加の原因ではないという主張について

MMT論者の多くは、上記のような各国の過去20年・30年の名目GDPの伸び率と政府支出の伸び率の強い相関をみて、積極財政こそGDP成長のカギであると主張する。

 

一方で、この相関は因果関係の証拠ではないとする主張や、GDPが成長したから政府支出が増やせたという主張もある。

例えば、税金が財源であるという勘違いに目をつぶれば、以下の3つの記事はクオリティーが高い積極財政派批判だと思う。(簿記を勉強していなかったら、私ならこれらの記事を崇拝していた可能性が高い。)

反緊縮派が使うべきではないグラフ|Prof. Nemuro🏶|note

政府支出とGDPの相関関係の再検証|Prof. Nemuro🏶|note

政府支出とGDPの相関関係の再検証[補足]|Prof. Nemuro🏶|note

この3本の記事は、大変恐縮ながら雑に要約すると、

GDP成長→政府の収入増加→政府の支出増加

という因果関係を主張している。MMTerを自称する私も、条件*1次第では、この因果関係は存在すると思う。しかし、私自身は結局、名目GDPの伸び率と政府支出の伸び率の強い相関が、

政府支出の増加→GDPの拡大

という因果関係の結果であると信じている。その理由を、上記3本のnoteに反論しつつ、これから述べる。

 

あと、GDPが伸びたから政府支出を増やせたとする主張には、私が半分賛同するパターンもある。それは、「民間の供給能力が拡大したので、政府が発注する仕事を受注できる企業が増え、高すぎるインフレを心配する必要無しに、政府が支出を拡大できるようになった。」というもの。これはあり得ると思っている。あり得るけれど、もしそうならなぜ、記事の頭にある「名目GDP成長率と政府支出の伸び率の関係」の散布図では、点直線のはるか上の方には一つも点が無いのだ?ってなるんだけど。

 

 

政府支出の増加がGDPの増加に寄与する理由

理由1:GDP成長→政府の収入増加→政府の支出増加 はウソ

実務は、政府の収入増加→政府の支出増加 を否定する

まず、MMTが述べる内容と同様、そして私の過去記事の言及内容と同様、主権通貨国の政府にとって、税金や罰金は支出の財源ではない。これは推測でも提案でもない。事実だ。したがって、他の要因を経由した間接的な因果関係を考えないことにすると、政府の収入の増加→政府の支出の増加 という因果関係は存在しない。

他の要因を経由した間接的な因果関係とは?例えば、大多数の人が税収の範囲内で支出しなければならない と信じて、実際に税収の範囲内で予算を決められていたとすれば、政府の収入→政府の支出 という因果関係は成り立つ。一方で、主権通貨を持つ先進国(日本や米国など)では、国債を発行しまくって支出していることもあり、政府の収入の増加→政府の支出の増加 という因果関係はない。

 

また、こちらのYahoo!ニュースの記事を見ればわかるとおり、政府支出対GDP比は、アイルランドの25%からフランスの56%まで、大きな開きがある。明らかに、政府支出対GDP比はその国の制度や状態などを反映していて、各国政府の第一目標が「政府支出対GDP比率を一定にすること」ではないことがわかる。

 

GDP成長→政府の収入増加→政府の支出増加 を否定する実績

政府支出とGDPの相関関係の再検証[補足]のように「GDPの規模に合わせて政府の支出を調節しているから、名目GDPの伸び率と政府支出の伸び率の強い相関は当然だ」とか、反緊縮派が使うべきではないグラフのように、GDP→政府収入→政府支出 を主張する人もいるが、そんなことは現実には起きていない。

 

実際、どこかの悪いイギリス人(?)が、 GDPに対する政府支出の割合の推移を根拠にして、日本の政府支出は多いとか抜かしてた記事で、年を追うごとに政府支出対GDP比が大きくなることをグラフで示している(政府支出対GDP比率がやたら低いのはなぜなのか、よくわからない。この記事では、政府最終消費支出のことを政府支出と呼んでいるのかもしれない)。1990年から2020年までの期間で、政府支出はGDP比で約14%から約20%まで増えた。約1.4倍。GDPに合わせて政府の支出を調節しているとは言えない。

 

ほかにも、こちらの記事で分かる通り、1990年から2019年までの期間で、政府支出は約30%から約37%まで増えたことがわかる。約1.2倍。政府支出対GDP比を一定に保とうとしてるって?何のために?事実を見ようよ。

 

止めはこれ。

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2007年と2016年の比較による、実質GDP成長率と実質政府支出の伸び率の関係

出典:https://unemployed-economics.hatenablog.jp/entry/2019/05/27/200100

政府支出対GDP比が10年で10~20%も伸びることだって、別に珍しくないことがわかる。政府支出対GDP比が一定になるのは、y = x のときだけ。実際には、サンプルの取り方にもよるけど、y = x からほど遠い回帰直線になることもよくある。政府支出とGDPの相関関係の再検証[補足]では、たまたま y = x に乗ったみたいだけど。

 

GDPに合わせて政府の支出を調節することなどないのだよ。現実にはね。

 

.......なんか悪口みたいになったけど、反緊縮派が使うべきではないグラフに関してはかなり鋭い指摘が多くてとても良い記事だと思う。読みやすいし。

 

 

 

理由2:インフラや技術への投資がGDP成長に与える効果は、現れるまでに時間がかかる

MMT論者の多くは、政府支出の中に含まれるインフラ投資や技術投資が、民間部門の成長を促すと主張する。私自身、電気網や道路網などのインフラ投資の成果なしでは、先進国並みに経済成長できたとは思えない。研究活動への投資なしでは、日本で研究してノーベル賞をとるような学者が現れたとは思えない。根拠は示せないが、常識的な感覚で考えてほしい。

政府支出とGDPの相関関係の再検証で多用されている、政府支出の伸び率とGDP成長率の関係の、相関係数や回帰直線の傾きは、「政府支出の増加がGDP成長にあまり寄与しない」との主張の根拠にならない。正確に言えば、政府支出に含まれる科学・技術・教育・インフラへの投資の影響が現れない。前年比程度の短いスパンで区切ってはダメ。もっと長い期間で比べないといけない。理由は(お分かりだろうが)下記の通り。

科学・技術・教育・インフラへの投資は、投資の際の費用を除くと基本的に、投資したその年からGDP成長に寄与するモノではない*2。5年、10年、あるいはそれ以上の長期で見て初めて、投資の成果が表れる。と考えるべきだ。だから、政府支出の伸び率(前年比)とGDP成長率(前年比)をプロットした散布図の、決定係数や回帰直線の傾きは、「政府の支出に含まれる投資が、GDPを成長させる効果」を反映しないとみるべきだ。

 

理由3:データがノイズを含む以上、前年比のデータで相関が消え、長期間の前後のデータで相関が現れるのは、当たり前。

前年比のデータは、政府支出の伸び率とGDP成長率の関係に大きなノイズを乗せる

仮に、名目GDPの伸び率と政府支出の伸び率の強い相関から推察されるように、

GDP成長率(一年あたり) = 政府支出の伸び率(一年あたり) + ほかの要因(一年あたり)

だったとする。「ほかの要因」の標準偏差が0.1の時と1の時では、GDP成長率と政府支出の伸び率の相関は全然違う。政府支出の伸び率がGDP成長率に与える影響の大きさは同じであるにもかかわらずだ。

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ほかの要因 の分散が決定係数R²に与える影響(イメージ図)

政府支出の伸び率がGDP成長率に与える影響を正確に観測するためには、「ほかの要因」の影響を小さくする必要がある。

前年比程度の短期間で相関をとることと、10年程度の中期間で相関をとる場合では、『政府支出の伸び率あたりの「ほかの要因」の標準偏差の大きさ』が変わってくる。政府支出を伸ばしてきた国の政府はその後も伸ばしやすい*3ため、10年の累積を見るという作業は、政府支出の伸び率の影響を累積させる。その一方で、「ほかの要因」の分散の影響は相殺され、「ほかの要因」の分散が持つGDP成長率への影響を、相対的に小さくするのだ。前年比は「ほかの要因」の効果が大きく表れ、中期間では「ほかの要因」の効果が小さくなる。結果として、前年比データを使うと相関が0に近づき、中期間のデータを使うと相関が1に近づく。この効果は、”各国の政府支出の伸び率の累積”が大きな分散を持つときや、”任意の国の政府支出の伸び率”が毎年あまり変化しない場合に、顕著に表れる。

前年比の、政府需要の伸び率と民間需要の伸び率の関係が相関係数が0に近かったのも、1997と2015を比較した政府支出増加率と名目GDP成長率の相関係数が1に近かったのも、当然と言えば当然なのだ。

 

景気が悪くなった年は、政府は支出を増やす傾向にある。

歴史に名を遺すほどの不景気の時期には、民間需要が減る。このとき、景気対策のため、政府需要に含まれる「景気を支えるための補正予算による支出」が増える。社会保障費が増えたり、インフラ投資支出を増やしたり。最近だとコロナ不況からの現金給付みたいに。

不景気になったら民間需要が減って政府需要が増える。もしも、政府需要の増加が民間需要の増加に影響しないのであれば、政府需要と民間需要の伸び率(前年比)は負の相関(R<0)であるべきだ。だが実際には、回帰直線の傾きは強いて言えば正(R>0)を示している

 

 

 

政府支出の増加がGDP成長と関係ないとの主張はどの程度確かか?

「政府支出に含まれる投資がGDP成長に与える効果が、散布図には表れていない」ということや、「前年比のデータは、政府支出の伸び率とGDP成長率の関係に大きなノイズを乗せる」という効果によって、ただでさえ相関が0に近づいているのに、さらに問題が上乗せされることを、これから主張したい。

 

政府支出とGDPの相関関係の再検証|Prof. Nemuro🏶|note

の、政府支出の増加がGDPの増加と関係ないという主張の根拠は、

①1959~1980、1981~1991、1992~2019のそれぞれの期間で、日本の「政府需要の伸び率」と「民間需要+純輸出の伸び率」の相関が小さすぎる

②1956~2000、1981~2019のそれぞれの期間で、日本の「公的需要の伸び率」と「民間需要の伸び率」の相関が小さすぎる

③ ①と②と似たような結果が、アメリカにも当てはまる

といったものだ。そもそも、積極財政派は政府支出とGDPの関係を論じているのに対して、政府支出とGDPの相関関係の再検証|Prof. Nemuro🏶|noteは政府需要(政府支出と言い換え可能)と民間需要の伸び率(GDP成長率ではない)を使っている。論点がずれている感が否めないが、ここは敢えて目をつぶろうではないか。

①は典型的な統計マジックの成果の1つだ。だれでも頻繁に陥ってしまう。(今回の統計マジックのタネは、こちらの記事の項目 ”・複数の原因が重なり合って一つの結果を生み出すとき、ランダム化比較試験ですら役に立たないかもしれない” に該当しする。ご興味あればどうぞ。) 今回の場合、3つの期間に区切ると、政府需要の伸び率がとりうる値の範囲が狭くなる。すると、「民間需要+純輸出」の分散に与える影響の大きさは、政府需要以外の要因が相対的に大きくなる。実際、3つの期間の中で最も政府需要の伸び率の分散が大きい1959~1980の散布図は、最も強い相関を示している。

②に関しては、1956~2000ではR=0.3程度で、そこそこ相関あるし、1981~2019は政府需要の伸び率の分散が小さいので相関が0に近くて当たり前だ。

 

蛇足:①の散布図よりも②の散布図の方が強い相関を示すのは、「比較的長い期間をとったことによる、政府需要の伸び率がとりうる値の範囲の拡大」に加え、以下のような理由が含まれると思われる。

一般的に、因果関係がある二変数を考えるとき、二変数以外の変数の分散が相対的に大きければ、因果関係がある二変数の相関係数は小さくなる。

民間需要が伸びるときは、通常は好景気であり、輸入が増える傾向にある。すなわち、民間需要の増加と純輸出の減少が同時に起こるということだ。この傾向は弱いものの、実在する。その結果、「民間需要+純輸出の伸び率」の分散は「民間需要の伸び率」の分散よりも小さくなる傾向にある。

「政府需要の伸び率」と「民間需要+純輸出の伸び率」の相関をとった場合、「政府需要の伸び率」と「民間需要の伸び率」の相関よりも、弱い相関を示すことが予測される。

 

「政府需要と民間需要の伸び率の相関関係が無い」と示す散布図、長期的な視点でとらえなおすと違う結論になる

ちなみに、

政府支出とGDPの相関関係の再検証|Prof. Nemuro🏶|note

の、日本の政府支出の伸び率民間需要+純輸出伸び率の関係をプロットした散布図は、1959~1980、1981~1991、1992~2019年度それぞれの期間で別々にプロットされている。3つの散布図すべてにおいて決定係数がとても小さいので、政府支出の伸び率民間需要+純輸出の伸び率は関係ないと主張しているが、長期的な見方をすると正反対のことが主張できる。

1959~1980年度の政府支出の伸び率民間需要+純輸出の伸び率はともに15%付近

1981~1991年度の政府支出の伸び率は4.5%付近、民間需要+純輸出の伸び率は6.5%付近

1992~2019年度の政府支出の伸び率は2%付近、民間需要+純輸出の伸び率は0%付近

でそれぞればらついている。座標(15, 15), (4.5, 6.5), (2, 0) をプロットしてみよう。

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縦軸が政府支出の伸び率、横軸が民間需要+純輸出の伸び率。左下の点が1992~2019年度の概ね平均、真ん中の点が1981~1991年度の概ね平均、右上の点が1959~1980年度の概ね平均。

明らかに、政府支出の伸び率民間需要+純輸出の伸び率は正の相関がある。といえる。だからどうした?って話だけどね。

1981~1991年度は、政府支出より民間需要が伸びている。バブルの面影だ。政府の黒字はバブルのしるし。逆に1992~2019年度は政府支出が民間需要より伸びている。民間需要が増えないことと合わせて、不景気な時期の特徴だ。

 

理由4:需要の増加→供給力の増加 という経験則

政府の支出はGDPの一部である。政府が支出を増やしてもGDPが伸びなかったとすると、政府支出の増加分、家計や企業の支出は減少しているはずだ。実体経済版クラウディングアウト。需要に対して供給力が小さすぎて、しかも供給力が変化しないと仮定すると、確かにそのようなことが起こるだろう。

だが、今の日本やほかの先進国や、発展途上国ですらも、需要が伸びればそれに続いて供給力を伸ばしてきた。インフレ率を需給ギャップを表す指標だと認め、需要と供給が完全に一致する時のインフレ率が0とするとき、 こちらの記事が、「需要が供給を上回る状況がGDP拡大を促す」根拠となる。インフレ率5%程度の時に、実質GDP成長率が最も高いのだ。

ちなみに、需要の拡大はただのインフレ圧力ではない。確かに、供給が需要に追い付いていない時は、物価は上がりやすい。しかし、拡大した需要に対応すべく、生産性向上のイノベーションで供給を向上したら、今度は物価は下がりやすくなる。

世間が不景気だと非政府部門は需要を増やしずらい。特に投資は増えずらい。費用の回収が難しくなるためだ。世間が不景気だと、家計の消費は増えない。消費が増えなければGDPも成長しない。今の日本のような不景気下で消費を増やす方法は無いか?政府が支出を増やせばいいだろう。

政府支出の影響は、政府の仕事を受注しない人にも及ぶ。政府の支出は、受注した業者の収入であり、この収入の少なくとも一部は支出になる。誰かの支出は誰かの収入。金は天下の回り物。会計のルールでそのように定められている。政府による支出が、直接関係のない人の収入を増やすというのは、絶対に起こることだ。後進国発展途上国でもない限り、政府支出の増加は民間の支出を増やす。当たり前だ。

あと、どうでもいいけど、「これ以上収入が増えても支出は増えない」だなんて思っている富裕層の方々は、今すぐ銀行でできるだけたくさんの現金を引き出して、街中で配ってあげてください。欲しいものが買えなくて悔しい思いをしている人は、現代日本にもいくらでもいます。彼らを助けて差し上げましょう。きっと、怪しまれつつも喜ばれます。

 

 

 

 

 

 

 

まとめ

名目GDPの伸び率と政府支出の伸び率の強い相関を示すグラフは、それ単体では政府支出の伸び→名目GDPの伸び という因果関係を示していない。だが、

・需要が供給力を上回る時=インフレ時にこそ生産性向上は起こるはずだし、実際そうだったという経験則

・学術・技術・インフラへの投資が生産性向上を支えているはずだという常識的な感覚

・政府の支出は少なくともその一部が、巡り巡って民間の支出となる

と合わせて考えると、政府支出の増加がGDP成長の強い要因だということは、おそらく確かだろう。私は(少なくとも今は)そう思う。

 

 

最後に&注釈

この記事はあくまでGDP成長率と政府支出の伸び率の関係を見てきただけだ。GDPが同じでも、その中身によって実態は大きく異なるので、GDPを伸ばすことが政府の仕事だ、というシンプルな発想には陥らないでほしい。いや、もちろんGDPは伸びてほしい。だが、どうせなら生活水準の向上に役立つ金の使い方が望ましい。医療費でGDPがいくら伸びたって、生活が良くなったとは言えない。GDPはあくまで指標だ。賢明な我々はその中身まで関心を向けなければならないと思う。

それから、政府支出以外にも、GDPに大きな影響を与える物事は存在する。金融や経済をめぐる国際条約・国内法などなど。近視眼的になりすぎないよう、戒めを込めて。

 

↓ 注釈

*1:ユーロ加盟国などのように税収が政府の支出の財源である場合や、予算を決める人が「税金が政府の支出の財源だ」と信じこんで、実際に税収の範囲内で予算を決めている場合が該当する

*2:投資費用はその年のGDPに反映されるので、その意味では、技術投資やインフラ投資がGDPに与える影響には即効性はあるが、次の年のGDPには一切影響しない。

*3:・「昨年の政府支出の伸び率(前年比)」と「今年の政府支出の伸び率(前年比)」の関係は、相関係数にして0.31程度を示す。

・「一昨年の政府支出の伸び率(前年比)」と「今年の政府支出の伸び率(前年比)」の関係は、相関係数にして0.23程度を示す。

・「3年前の政府支出の伸び率(前年比)」と「今年の政府支出の伸び率(前年比)」の関係は、相関係数にして0.23程度を示す。

(いずれも当方調べ)

相関係数の計算は、こちらのIMFのページから入手したデータで、1990~2015の政府支出のデータが出そろっている国を対象とし、1991~2015の政府支出の伸び率を算出して行った。