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エージェントの分布が特定の正規分布になるような、「個々のエージェントのランダムさを含む移動規則」の一例についてのメモ

 

 

エージェントの位置が一次元であらわされるような場合を扱う。正規分布の性質上、二次元・三次元に拡張するのも容易だと思う。

 

・時間tにおける確率変数X(t)の確率密度関数が、正規分布f(t, x)で書かれる。Xに、「エージェントの位置の分布を表す確率変数」と意味づけする。

・平均0、標準偏差nの正規分布g(x)を確率密度関数とする確率変数Nを導入する

とする。

NとXは独立とする。

 

確率変数同士の足し算は、足し算の結果の確率変数の確率密度関数が、元の二つの確率密度関数の畳み込み積分であらわされる。

正規分布正規分布の畳み込み積分の結果は、正規分布になる。結果の正規分布の平均は、元の二つの平均値の和。結果の正規分布の分散は元の二つの分散の和になる。

参考:

k-san.link

など。

エージェントの位置が正規分布(パルスを含む)で表現される性質を利用して、エージェントがそれぞれランダムさを含む移動を繰り返したとき(つまり f_{(t→∞, x)} )、エージェント全体の分布が特定の平均と分散を持つ正規分布であらわされるような、エージェントの移動規則の一例を考える。

 

最初に、XとNの和をとる。和をYと表記する。Yの確率密度関数は平均m、標準偏差 a = \sqrt{\sigma^2+n^2}正規分布h(x)である。

h(x)を無理やりf(x)と同じにするために、以下の操作を行う

①h(x)の分散をXと等しくするために、 \frac{a}{\sigma} h_{(\frac{ax}{\sigma})} を計算する(グラフをx=0の直線を中心に横に圧縮して、圧縮率分縦に伸ばして、積分の値=確率密度の合計を一定にするイメージ)。 \frac{a}{\sigma} h_{(\frac{ax}{\sigma})}は、平均mσ/a、分散σ^2の正規分布を表す関数になる

 \frac{a}{\sigma} h_{(\frac{ax}{\sigma})}の平均値をmに戻すために、 \frac{ax}{\sigma} \frac{ax}{\sigma} - (m-\frac{m\sigma}{a}) =  \frac{ax}{\sigma} - m(1-\frac{\sigma}{a})に変数変換する。つまり、 \frac{a}{\sigma} h_{(\frac{ax}{\sigma} - m(1-\frac{\sigma}{a}))}を計算する。これで、Xの確率密度関数と同じく分散σ^2、平均mの正規分布になる。

 

①と②の確率密度関数の変形を、エージェントの移動規則に翻訳すると、

1, 位置xのエージェントを位置xσ/aに移動

2, 位置xσ/aのエージェントを位置xσ/a + m(1 - σ/a)に移動

となる。XとNの畳み込み積分に対応するエージェントの移動

位置xのエージェントを位置x+n*r に移動

(r:標準化された正規分布で確率があらわされるサンプル。正規分布の乱数発生器を使う)

と合わせると、それぞれのエージェントは

位置xから位置(x+n*r)σ/a + m(1 - σ/a)

に移動すればよい。x(t+1)=(x(t)+n*r)σ/a + m(1 - σ/a) ということだ。a≝sqrt(σ^2+n^2) だから、パラメータnとσの影響をわかりやすく書くと、

 x_{(t+1)}=\frac{(x_{(t)}+n r)\sigma}{\sqrt{\sigma^2+n^2}} + m(1 - \frac{\sigma}{\sqrt{σ^2+n^2}}) 

ここで、rは、標準化された正規分布で確率があらわされるサンプル。

これが結論。

m,σをあらかじめ与えておけば、t→∞に向かう過程で、エージェントの位置の(確立)分布が、平均m分散σの正規分布に漸近していく(tが十分に大きくなるまでサイクルを回すのであれば、エージェントの初期位置は全員mでも問題ない)。nはエージェントの位置の移動しやすさを調節するパラメータになる。

 

 

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