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政府債務残高対GDP比率が、積極財政を続けるほど小さくなりがちなことを、SFCモデルで再現する

この記事でやりたいこと

タイトル通り、政府債務残高対GDP比率が、積極財政を続けるほど小さくなりがちなことを、SFCモデルで再現したい。ランダル・レイが書いたMMT本でも似たようなことが書いてあったかもしれない。

この記事で行うのは、証明ではなく、解釈や示唆だ。証拠といえるほど確かなものではないが、このようにすればすっきり理解できる、という解釈を提案する

研究猫ともさんのこのページに触発され、
note.com
自分なりに類似品を再生産したつもり。

使用したストック・フロー一貫モデル

モデルはこれ。
rokabonatttsu.hatenablog.com

政府債務残高対GDP比率が、積極財政を続けるほど小さくなりがちなことを、SFCモデルで再現

政府債務残高対GDP比率 \frac{H}{Y}は、このモデルにおいて、
 \frac{1 - \alpha_1 - \theta}{\alpha_2 + \gamma}
に収束する。
また、 \gammaは、政府支出が時間1の間に \exp(\gamma)倍になるようなパラメータで、値が大きくなるほど政府支出を拡大する。
 \alpha_1=0.6
 \alpha_2=0.1
 \theta=0.25
とすると、 \gammaの値と \frac{H}{Y}が収束する値の関係は、

政府支出成長率とほとんど同じ値になるパラメータ \gammaと、債務対GDP比率 \frac{H}{Y}の収束値の関係

最後に

モデルの仮定がそれなりに妥当だったとすると、モデルが示唆するのは、経済学でおそらく主流の主張であろう「政府債務残高対GDP比率が上がったから、GDP成長率が下がる」という因果関係ではない。政府支出が時間1の間に \exp(\gamma)倍になるようなパラメータ \gammaが原因側、内生的に算出される政府債務残高対GDP \frac{H}{Y}が結果側という構造であり、「政府支出増加率が高いとき、名目GDPが政府債務残高に先行して成長するため、政府債務残高対GDP比率が下がる」ということを示唆する結果だ。国債の利払いなどは一切考慮していない。