なぜこんなにも金融市場の先行きを見通すのが困難なのか、なぜバブルが起こるのか、などといったことに焦点を当てるための数冊です。
・ミンスキーと不安定性の経済学
卓越した先見の明を持ち、バブルはなぜ起こるのか、などの、定性的な記述をいち早く行ったハイマン・ミンスキー。彼の弟子(?)が書いた本。ミンスキーが何を考えていたのかを中心に書かれている。「安定が不安定を生み出す」ことを様々な角度から説明している。
・市場は物理法則で動く
人が学習する生き物だという点に着目し、絶えず変化に適応し続けるエージェントが互いに相互作用する場所としての金融市場が、どのように価格変動を引き起こしているのか、コンピュータを用いたシミュレーションなどを通じて議論する。金融市場において(仮に均衡する価格が存在するものとしても、)均衡が実現せず、むしろ変動し続ける理由などを説明する。
・適応的市場仮説
合理的期待形成の仮説が最もうまく適用できたとされる金融市場。合理的期待形成の考え方から生まれた効率的市場仮説が、ある程度成功したことを説明しつつ、しかしそれでは説明できない現象が多数存在することを指摘。生物進化と似た仕組みで、プレイヤーが金融市場における行動を進化させていることを論じた、適応的市場仮説を提案する。
・統計分布を知れば世界がわかる
株価の変動などに現れる、正規分布やべき乗則が、どのような理由で発生しうるのかを非常にわかりやすく書かれた本。
・自己組織化と進化の論理
上にあげたほかの本と併せて読むことにより、「なぜ金融市場がほどほどに安定し、ときに大変動を起こす状態を”好む”のか」について、理解を促してくれるかもしれない一冊。