投資という言葉が、人・分野・場面によって様々な意味で使われていて、広い分野を独学で渡り歩く人たちの混乱のもとになっているのではなかろうか。少なくとも私は、ひどい目にあった。
同じようなことが、貯蓄や資本についても言えるんだけれども、まぁ、投資について整理できれば、自然と貯蓄や資本についても整理できるはずなので、ここでは投資だけに触れる。
①金融商品の売買益を得るための投機の意味
区別のために意図的に「投機」あるいは「資産運用」という言葉を使う人も多いはず。世間一般で最も頻繁に使用されているパターンに見える。
②不動産や新規発行される株式などの、資本や権利を購入する意味
不動産投資、エンジェル投資、新規発行される株式の購入など。「資産運用」という場合もあると思う。
③国内民間部門の、付加価値生産額から消費額を差し引いた部分としての意味
資本や棚卸資産の価格変動や資本減耗を含まない「今期生産されたもの」である。マクロの文脈で頻出する。
(GDPの生産面)や
(マクロ的均衡条件)で使用されるのもこれ。
投資はフローの概念であり、(固定)資本というストックとの関係は
資本:
(資本への)投資:
資本減耗率:
資本の変化(SFCモデルっぽい表記):
資本の変化(DSGEモデルっぽい表記):
となる(投資不動産など、一部例外を除き、固定資本は簿価らしいので、資本の変化の式にキャピタルゲインを反映していない)。
マクロ経済学の文脈で使われる。
④研究や開発のために資金を使うの意味
区別のために「投資支出」「投資支出額」などと呼ぶこともあるかも。一経済主体に着目した、イノベーション関係の議論の、ミクロの視点の文脈で頻出する。
会計の文脈では、労務費と材料費の一部や研究開発費などが、この意味の投資にあたる。
⑤可能性を信じて今保有するリソースを割く、という意味
一企業に対して使う場合は、将来の需要を信じて生産を増やし在庫を増やしたり、技術開発に労働時間を割くときの、金銭ではない何かを費やす意味。
一個人に対して使う場合は、時間を投資するみたいな言い方とか、将来のために勉強することを投資と自称するとか。