好奇心の横断歩道を創る!

自分の思考をラバーダック・デバッグするためのブログ

AB-SFCの作成の記録(0)

最初はシンプルなのを作って、徐々に複雑にしていきたい、という目論見がありつつ、AB-SFCモデルを作ってみた記録。ブログに貼っておくと、今後の作業がやりやすいんで。

 

気分的には

rokabonatttsu.hatenablog.com

の続き。問題意識は同じだけど、かなり違うモデル・かなり違う書き方で書いたもの。上のはABモデルだったけど、SFCモデルではなかった。今回はSFCモデル。

 

家計エージェント1000

企業エージェント1

銀行エージェント1

統合政府エージェント1

で、とりまそれっぽいAB-SFCモデルを作ってみた。これの、simpleSFC.ipynb 。

github.com

 

 

賃金総額の名目値を、毎期2%づつ増やし、低所得の家庭への給付金と企業への仕事の発注で構成される政府支出は、企業への仕事の発注が物価調整後でおおむね一定(完全に一定はないのは、企業への仕事の発注額の名目値を先に決めて、物価と給付金の金額が後から決まるようにしたから)になるようにした。んで、いくつかの変数の動きをプロットしてみたら、下みたいになった。リアル寄りな振る舞いになるようにパラメータの調節したりはしてない。あと、バグ警察はほとんど巡回していない状態、治安が悪いかも。

TFM

 

銀行の保有する資産と負債の残高の推移
L=貸付金、MS=預金、HPM=準備預金
MSの推移がHPMと重なって隠れている。財政赤字が潤沢すぎて民間が銀行で借入していない状態。

 

政府支出と税収の推移



物価の推移

物価調整後の、企業の収益の分配

物価調整後の政府支出と税収の推移


物価と平均賃金の関係をシドニー・ワイントロープっぽくして、名目賃金の合計が外生的に定数倍していく設定にしたから、そこら辺の特徴が反映されている感じだ。




 

個々の家計の賃金の名目値の変化は、これと同じようにして決めた。

rokabonatttsu.hatenablog.com

そのほか細かい話(消費関数みたいな行動方程式など)は、気が向いたら書く。パラメータを調整してそこそこリアルっぽい分配になるようにしてみても良いかも。

 

 

次のモデルは、企業エージェントの数を複数にして、転職を導入するかな。政府支出が外生変数と内生変数の和で書かれているが、すべて内生変数にするパターンは作ってもいいかも。前期の消費の一定倍にするとか。ほかにも、銀行の与信とか、イノベーションの起こり方とか、投資支出の導入とその意思決定方法とか、そこら辺のそれっぽい表現方法を文献からパクったり考えたりしないと。

今回のモデルは、内生的貨幣供給を想定していたり、PKやMMTっぽい前提を多めに盛り込んでいる状態。ただ、PKやMMTは金融以外のイノベーションへの理解が相対的に弱い印象を持っている。あくまで相対的にね。

多くの人にとっては、「結果的にうまくいくことが重要」なのだから、ここ100年ほど人類の生活水準向上に多大な貢献をしてきたイノベーション関係は、避けては通れない話題だと思っている。経済学的な実証研究や、複雑系やネットワーク科学や、場合によってはシュンペーターやクリステンセンなどのアイデアを参考にして、イノベーションについて真剣に考えてみたい。現状、「消費などのGDP周りは有効需要の原理がうまくはまっている。科学や技術の発展には自己の発展を加速しようとする原理(生み出され普及したアイデアや知識やインフラなどの資本が、相互作用でさらに新しい資本を生み出すという、自己触媒的な反応が人間社会の性質であるという仮説。生み出された資本の種類が増えるほど相互作用の時間密度が増えて新しいものをより多く生み出す。産業革命によるテイクオフはそのわかりやすい実例だった、みたいな話)と収穫逓減っぽい原理が強く効いている」という直感が私の中では幅を利かせている。一か月後には全く違うこと主張してるかもしれないけど。