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これだから経済学は使えない。市場は非市場的な仕組みが支えている

経済学は使えないシリーズ一覧

 

 

市場は非市場的な仕組みが支えている。取引にはルールがあってそれを守らせる何かしらの仕組みがなければならない。現代の市場が普及した国では、取引のルールを定め、秩序を守らせるものとして、法律があり、行政があり、司法がある。法律が市場のルールを規定し、行政がそれを守らせ、違反した疑いのある人には司法の裁きを下す、というモデルだ。

市場を機能させるための非市場的な仕組みは、立法・司法・行政(学校教育とか警察とか)だけではない。歴史・文化・習慣・道徳観などの影響が大きい。中でも重要なのは、現代だと、習慣と教育と科学技術投資だろう。

読み書きそろばんを国民が標準装備して初めて、現代先進国の制度が成立する。国家を成立させるために必要不可欠だからこそ”義務”教育なのだ。国家権力が健全な市場を支え、その市場の恩恵に授かっている国民には市場と国家権力を支える義務が課される。

現代国家は、科学や技術に対し、(賃金を含む)価格競争と無縁な環境と人間に研究費や開発費を出している。必要なインフラの多くを公的部門が主導で用意している。賢明な人間なら、国公立の大学や軍の研究機関などに使われる予算の大きさ、そしてその成果の大きさを認めるであろう。

 

市場は非市場的な仕組みに支えられて成立している。経済を理解したければ、市場の分析だけに熱中している場合ではない。経済を考えることは、文化・伝統・倫理観・宗教・習慣・法律・認知科学社会心理学進化心理学地政学生態学・歴史や考古学・統計学代数学情報科学・その他各種技術 の複合領域を考えることだ。多くの学問領域と矛盾なく接続しなければならないし、価値観の違う政策当局には異なる政策提言をしなければならないし、置かれている状況が異なる集団には異なるガイドラインを示す必要がある。

無駄に複雑で実用性のない方程式体系を論文にして有名雑誌に載せる一連の仕事は、経済学を発展(?)させることができる。が、心理学や考古学などから経済学と矛盾する情報が次々と出てきても、経済学者が経済学にしか興味を示ない現状においては、経済学は経済の理解のための道具になりえない。

 

 

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