参考程度に読んでください。自分がどこまで理解しているかを把握するために書いてる部分が大きいです。
物理現象の観測のスペクトルのピークをガウス関数でフィッティングするのはなぜ?
ガウス関数でフィッティングするとき、その理由は次の2つだと思います(責任を持てません)。
①, 実際の物理がガウス分布で表現できる場合
②, 吸光度のスペクトルなど、観測対象の物理現象自体は幅を持たないはずなのにガウス分布で観測される場合
今回の記事で言及するのは②の方です。実際に発生しているのはδ関数的な事象のはずなのに、なぜ幅を持って観測され、それがガウス関数の形をしているのか。 それは、実際の現象に計測機器による測定誤差を織り込んで考えるからです。
測定誤差はなぜガウス分布なの?
知りません。ただ、誤差分布といえば大抵ガウス分布と思って問題ありません(私的な経験則)し、誤差分布とはたいていガウス分布だと聞きます。また、誤差の原因が複数あって何重にも重なった誤差であっても、すべての段階の誤差分布がガウス分布であれば、最終的な誤差もガウス分布として考えることができます。(詳しくは後述)
測定誤差を含む観測結果を、誤差分布と真実の分布を使って表す数学
畳み込み積分を使えばよいのです。(そしてそれは、誤差分布がガウス分布でなくても同じこと。)
どういう意味か直観的にとらえるために、実際の物理現象がデルタ関数、誤差分布がガウス分布のときを考えます。
まず、物理現象としてディラックのデルタ関数を採用します。電子状態の緩和によるエネルギー放出など、とびとびの値をとる物理現象を想定しています。
次に確率分布ですが、確率分布を表すためには積分をとった時に1になる必要があります。また、簡単のために、観測される誤差が観測誤差0を中心に分布すると仮定します(中心が0にならない観測も中にはあるはず)。上記のように、誤差分布はガウス関数で表されることを経験的に知っているので、誤差分布にガウス幅σで中心が0の規格化されたガウス分布関数をそれぞれ採用します。
ガウス分布の幅は半値幅と同じスケールです(数学屋さんにはボコられそうですが)。下にガウス幅1,中心が0で規格化されたガウス関数のグラフを示します。
さて、このときデルタ関数をガウス関数で畳み込み積分するとどうなるのか。ディラックデルタの定義に従って考えれば、畳み込み積分の結果もまたガウス関数になることがわかります。*1それも、誤差分布として定義したガウス関数そのものなのです。 つまり、厳密に一つの値を持つ物理量を十分な回数繰り返し計測したとき、その計測結果はガウス分布に従うはずだということです。
同様に、観測される物理量が幅を持つ分布でも(そういうときの方が多いですが)、計測誤差を含む観測結果は、実際の物理量とガウス分布の畳み込み積分で表現できます。
例えばこんな分布をする物理現象を観測することにします。 ここに次のようなガウス関数を誤差分布として、 畳み込み積分すると、こんな分布になります。
ちなみに、ガウス分布をガウス分布の誤差で畳み込み積分すると、その結果もガウス分布になります。 qiita.com こちらを参照してください。
全てのピークで、誤差分布のガウス幅は(基本的に)一定です
高いピークだからガウス幅が大きくなるなどといった、そんなことは基本的にはありません。
①測定機器の性能による理由
②横軸対数でプロットする
③物理現象そのものが幅を持って分布をしている
などの場合を除き、どこのピークもガウス幅は多くの場合一定です。理由?知るかそんなもん!
あとがき
人生初のMarkdownによる記事(ただし数式とグラフは画像をキャプチャ。調べてみたけど上手くいかなかったんだもの)だったことを、自分の心の中だけで記念しつつ。またいつか。
*1:分からない方は各自調べてください。