どうも、物語のテーマが、(現代?)社会の切実な問題を取り扱っているような気がしたので、備忘録っとく。作中の登場人物の言葉やナレーションには
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を適用しておく。「物語に触れたまさにそのとき自分が何を考え感じたか」「物語の構造を理解するための重要なピースだと思った言葉」を記録している
主要な登場人物
ワイス・シュニー
ブレイク・ベラドンナ
ヤン・シャオロン
ジョーン・アーク
ノーラ・ヴァルキリー
ピュラ・ニコス
ライ・レン
伝説。時の流れの中で忘れ去られた物語。かつて人は、チリより生まれ、強く賢く創造性に満ちていた。だが、逃れえぬ闇の化身、破壊の獣たるグリムが、人を敵とみなした。グリムに追い詰められ、人がはかなくもチリに帰らんとするかに思われたとき、小さな希望が、大きな光をもたらした。チリより生まれし人が、情熱と創造性によって見出したもの、ダストである。人々はからくも闇を払い、文明を取り戻した。
・グリムは闇の化身であり破壊の獣である
・人はチリから生まれた
・人は、グリムに追い詰められ、チリに帰りそうになった
・情熱と創造性によって見出した「ダスト」によって、人々は希望を得て、闇を払った(グリムを打ち払った)
のだそう。
力なきものはチリに帰る。それがこの世界のおきて。
君は銀の瞳の持ち主なんだね
銀の瞳は、銀の弾丸のに近い意味合いの象徴かもしれない。いずれにしても、瞳の色は意味もなくランダムに割り振られたものではないことがわかる
人は戦いの末に生を勝ち得た。しかし、明るい光もいつか陰り、闇が生まれる。光の守り人たちよ、心しなさい。力のみを信じる者に、勝利はない、と。
勝利とは、実は純粋なものなのかもしれない。時の流れの果てに、人が忘れてしまった、真摯でささやかな、心の在り方のように。
シュニー・ダスト・カンパニーって有名だよねー。世界一あくどいって噂
奴隷みたいに働かされるってね
カンパニーは、市場経済を生きる生産者の象徴だと思われる。諜報機関じゃないぞ
ホワイトファングは、いわゆる、弱者階級の、サネトシ(呪いのメタファーだったっけ?)に近い組織だと思われる
ダストは、資本とか商品とか、技術とか。
銀髪の子、ワイズ、カンパニーの後継者、彼女が氷を使ってダストに対して「身動きをとれなくすることによって」戦う。人の行動を縛るものの象徴としての意味合いがあるかもしれない。それから、氷には、寂しさを寒いと表現する伝統にあるように、能力主義やエリート主義がもたらす孤独感を連想させる力がある。ピンドラでいうところの「ここはもう、氷の世界なんだ」と似てたニュアンスだと感じた。
グリムは闇より生まれ成長し、用心深さを身に着ける。グリムは死ぬとすぐにチリに帰り、魂はないと考えられる。こうした知識を戦いに役立てることが、ハンターの務め。
知ることの重要さ?
グリムの特徴を素早く察知し、弱点を見つけることにたけた人間が、チームのリーダーに任命されている
最高の自分、最高のチームメイトを目指せ。誰がリーダーかなど、大した問題ではないことがわかる
自分のオーラの限界を知り、戦い方を選びましょう
オーラは、生きるものすべてが備えているの。グリム以外は。
~~中略~~
最高の鎧となり、武器となる。オーラが成長すれば、あなただけの力、センブランスも目覚めるわ
背中の模様が、いばらのようでもあるのは、偶然ではないと思う。言葉にするのが難しいが、本人の行動を縛り、身動きをとれなくしていく、動こうとすると痛い、そんな何かの記号として。本人に見えない背中に現れることも、きっと意味がある
私はシオンザイデン。ナイトメアハンター。
ナイトメア?
人に取り付き、オーラを吸って成長する、グリム。取りつかれたものは、夢にとらわれ、眠りながらグリムの苗床となる。
グリムをやっつければいいの?
彼の夢の中に入ってね。
夢の中。
彼に近しいものが適任です。見知らぬものでは、彼の心に拒絶されてしまう。彼の夢に入り、グリムと戦うものはいますか?
~~中略~~
ジョーン君を見つけました
早いな
仲間同士気遣いあっていたからこそ。良いチームです
お前がとらわれる番だ、ナイトメア。その中で、種に帰れ。
種、植物みたい
通常グリムは獣の姿を取ります。しかし中には特殊なグリムも存在することを知っておきなさい
これ(ナイトメアの種)の成長前でよかった。オーラの発揮が小さかったせいでしょう。
センブランスも未覚醒、戦闘時のオーラも基準値以下、それが幸いしたということですね
弱くて得する人初めて見た
私が森で感じたナイトメアはほかにもいます。葛藤を抱えた繊細な心の持ち主ほど狙われやすい。生徒たちにくれぐれも用心するようにお伝えください
もうあきらめよう、船のただ乗りでしょう?
法律を破る悪党ですわ。放っておけば、ホワイトファングに入るに決まっています
違う、これだから世間知らずは
わたくしが何ですって
偏見だらけの差別主義者よ。ファウナスというだけで犯罪者扱い。あの彼が悪党なら、あなたも悪党よ
人類を憎む純然たる悪の組織を、どうして味方できるの?
純然たる悪なんてない。あなたみたいな人たちが、ファウナスを追い詰めたのよ
二人ともケンカしないで
彼らに命を奪われた人々の葬儀に立ち会ったことはあって?カンパニーの重役だというだけで殺された遺族の悲しみを知ってますの?わたくしがどれだけつらい思いをしたかも
私たちは虐げられることにもううんざりなの
かなわぬ願いを押し隠してきた。気にしないだけで精いっぱい。ファウナスを、ホワイトファングを許せるわけじゃない
~~~~シャフトは、論理的で複雑な構造を持つ物語が得意なのかな?いうて、まどマギと打ち上げ花火と氷雪帝国しか観たことないんだけど。~~~~
ワイスの夢に入ったルビー(たち)が苦しむのは、ピンドラの桃果が運命の乗り換えで身を焦がすのと、似ている気がする。実体験としてもわかる気がする。
物語の中では一貫して、知ろうとすることや知ることを肯定している。問題があるならその原因を探り、解消することを、常に求めている。間違った主張だと判断し叩き潰すことを、良しとしない(少なくとも効果的だと主張したりしない)。ナイトメアに溶け込み、なるべく異物にならずに(つまり心情世界を理解しつつ)問題の核心を発見し、心情世界が受け入れやすい形に加工した効果的な干渉を施す(作中の言葉だとメンテナンス)、そんな方法を探し見つけることをよしとしている。
ナイトメアにそぐわない内容を主張したまさにその瞬間、ナイトメアの中で戦いが起こる。心がざわつくとか、葛藤するとか、そんな意味だろう。ナイトメアにおける戦闘力は、ナイトメアを作り出した本人の心持次第なので、本人が受け入れたくなるように加工されたものを武器にしなければ、戦いに勝てない。
ナイトメアに入らずに、主張を通すことはできるが、その場合、リアルでは昏睡し、死ぬことになる(作中でも「命が危ない」という直接的な言い回しが用いられる)。社会的な死と取れる気がするし、心の死とも取れる気がする。後者が有力な説かな。ピンドラの子供ブロイラーみたい。別の言い方をすると、新たな影・グリムが生産される、ということになりそう。まさに、強さ(強制力)のみを信じる者に勝利(問題の永続的な解消)はない、といったところ。
居眠りドアは、ワイス本人が言うところの「完璧じゃない」の一部だろう。ネガワイス自身が時に迷いを見せる描写もまた、「完璧じゃない」理由。
3回目のワイスナイトメア潜入の直前のルビーが、「わかってあげられなくてごめんね」みたいなことを言うのは、重要な意味がある。ルビー以外のみんなも、ワイスを理解し始めたタイミングだった。これは決して偶然ではないハズ。
あと、オーラって、気力みたいな感じかな。
ワイズは、彼女なりに市場原理の帝国を愛していたし、そこで「奴隷みたい」に働く人たちのことを愛していた。帝国の論理の上では「おバカさん」であると同時に大切な人たちや気持ちは、檻や部屋に閉じ込め、治外法権を適応しようともした。
ホワイトファングがいなくなれば、帝国の臣民は幸福になる、という、「これだから世間知らずは」「偏見だらけの差別主義者よ」と罵られた世界観は、テロとの「戦い」などといった言葉遣いに違和感を感じない人々のそれと非常に似ているのではないかな。
再三「責任重大だ」と”脅迫”される様は、理性崇拝がもたらす結果の一側面といえそう。うまく言葉にできないな。
「ふさわしい」が多用される理由は、ふさわしいという感覚が、市場原理の帝国に根付く能力主義の中で生きるとき、能力を他人に認めさせ続けなくてはいけないと感じるようになる、感覚の反映ではなかろうか。
「自由のために戦う」とのフレーズの下、行動を開始したメンバーが、その行動指針を貫く限りナイトメアの中で戦いを強いられるのは、それがワイズの心を揺さぶるものではあったものの、ワイズの心を救うものではなかったということを意味する。
変化が激しければ、心に抵抗が生じます。ワイズ君の心の抵抗を、ナイトメアが利用しているのです。後戻りはできません。あなたたちが心の抵抗をなだめてやらねば、ワイズ君は目覚めるすべを失います。
ルビーのセンブランスが高速移動なのは、問題の核心を探り当てる探索行動を得意とする彼女の特性ってとこかな。彼女がリーダーに指名されたのは、問題解決能力の高さではなく、問題探索能力の高さを期待されたからなのかも。うまく言葉にできない。
ルビーの手のひらに小さないばら模様。不穏だなぁ。
やはり、守るために閉じ込めていた。そして、ルビーが意識を失った?まさか今度はルビーのナイトメア?
ルビー、眠ったかと思ったら、ジョーン君の力?によってあっさり夢から覚める。どゆこと?そうこうしてるうちにネガワイスが透明な棺桶みたいなのに入っちゃった。まずくね?
グリムっていうか、ホワイトファングっていうか、なんかおとなしくない?
私がいるからかも。ワイスにとって私は、あれと同類ってことかしら
ちょっと、そんなのわかんないでしょ、ほら、これってクリムが見せてる夢なわけだし、
わかる気がするわ。
え?
私も、シュニーダストカンパニーやファウナスを迫害する人々に、危険で恐ろしいイメージを抱いていたから。あんな風に。必ずしもそうではないと心の中でわかっていた。でも、相手に敵意があることを理由にして、戦うべきだと言い聞かせていた。
うーん、まぁそうだとしてもさ、今のあんたはそうじゃないんだし、とにかくこれ持って急いで戻ろう。で、グリムをやっつける。私のコイン使うから
そうしたところで、またネガワイスに止められるだけよ。夢の中では彼女の力にかなわない。
そんなのわかんないでしょう。きっと今頃ルビー1人で頑張ってるんだから、私たちも早く
わかってるはずよ。何か別の作戦を考えないと私たちに勝ち目は無い。
さんざん考えたじゃん。他にどうするのさ。ジョーンみたいにグリムアレルギーになって、こそこそ入り込むとか?やだそんなの
力技じゃ通用しないってこと、あ、その手があるかも
ジョーンだけでなくルビーもナイトメア経験者になっちゃった。その手ってその手か?
そしてルビー君の演説、
「自由のために戦って」改め、「ワイスのために戦って」作戦。ワイスにも出たいって思ってほしい。とのこと。
そして直後にネガワイスが透明な棺桶から出てくる、何事ですの?
自分の理解が間違っていなければ、ナイトメアの内部では、戦わざるを得ないような方針は無力なんだけど、そこのところどうなの?
ブレイクの作戦が思ってたより過激だった。帝国主義は常にビジネスとともにあったよな、などと思いながらネガブレイクとネガワイスの戦いを眺めてる。
予想してた結末と少し違った。
人は戦いの末に生を勝ち得た。しかし、明るい光もいつかは陰りを見せる。闇が生まれ、伝説は繰り返す。光の世界の守り人たちよ、心しなさい。力のみを信じる者に、勝利はない、と。
勝利とは、実は純粋なものなのかもしれない。時の流れの果てに、人が忘れてしまった、真摯でささやかな、心の在り方のように。
再序盤で聞いたような言葉が最後を締めくくった。「戦いの末に生を勝ち得た」と言っていたではないか、戦いの末にと明言していたではないか、ナイトメアの中で戦っても無意味だなんて言ってたヤツ、人の話は真剣に聞きなさいっ!
とにかく、生≒光、グリム≒影、そして、力のみを信じる者に、勝利はないのだそう。
「勝利とは何か」の言葉による具体的な説明がありませんでした(多分)。まぁ、「力と力でぶつかり合う限り闇が生まれる、闇を抱え続ける限りそれを勝利とは呼ばない」ってな感じの、言葉にすると何の目新しさもない、されど挑戦的な、話なのかもしれない。
力のみを信じる者に勝利はない、かぁ。