好奇心の横断歩道を創る!

自分の思考をラバーダック・デバッグするためのブログ

ビッグファイブの5つの因子を、より細かく分割して使う習慣を提案します。記述的な性格分析として、その方が正確そうじゃないですか?

この記事を訪れた方は、「ビッグファイブくらい知ってるよ!性格を記述する方法だろ!」って感じかと想像します。そして多分、開放性が高い(あるいは好奇心旺盛というべきか?)人が多いのかな。まぁ、そうではなくても構いません。この記事の目的は、

私が「あまり一般的ではないが有用だ」と考える、ビッグファイブ理論の使い方を提案すること

です。具体的には、ビッグファイブの5つの因子それぞれを、もっと細かいサブグループに分割し、「BIG30」に焼き直します。

 

あと、どうでもいいのですが、私は「性格改善」みたいな発想が嫌いです。我々の社会では、「上手くいく」かどうかは、その人特有の性質(努力や工夫もここに含む)と周囲の環境の相互作用で決まっているからです。環境が変われば適応的な性質が変わる。進化論を持ち出すまでもなく、それが現実ですよね。性格そのものに良し悪しを定義することは、誰の得にもならないと思うのです。

ふぅ。

 

 

 

ビッグファイブ理論の復習

まずは、ビッグファイブ理論のおさらい。ビッグファイブの説明は、日本語の情報源だと、Wikipediaの情報が最も、詳しく・網羅的で・簡単にアクセスできる の3拍子がそろっていると思います。

ja.wikipedia.org

 

ビッグファイブ理論は、人の性格を記述するとき、以下に箇条書きする特徴を持ちます。

・5つの指標、開放性・誠実性・外向性・協調性・神経症傾向 を使う

・それぞれの指標は、人の性格を表す単語を5つのグループに分類し、各グループの単語の形容がどの程度当てはまるかを表したもの。(こんな書き方、正確ではないけど、許して)

・5つの指標は、その性格の原因(神経生理学的なこととか)と関係なく、あくまで性質を記述するために作られた

 

 

ファイブの問題意識

なぜBig4でもなくBig6でもなくBig5なのか?

...........指標は5つくらいが、「使いやすさ・手軽さ」と「性格の表現の厳密さ」の両立のための一般的な落としどころ、なのかもしれません。あるいは、ほかに理由があるのかも。

まあ何でもいいのです。この記事では、「使いやすさ・手軽さ」を多少犠牲にしてでも、より緻密に性格を表現することを提案します。それはなぜか?すぐに思いついた範囲で3つほど列挙してみます。頑張って考えたり探したりすれば、おそらくもっとたくさんの問題を指摘できそうです。

 

問題意識の例1

「ビッグファイブの各因子と○○の相関関係」みたいなのを議論する研究などを見ていると、「そんなこと調べて学術的に意味あるか?」って思うことが多いんですよね。例えば、外交的な人は赤い服を着る傾向にある、みたいな。一口に外交的といったって、社交的なことと赤い服に相関があるのか、自己主張の強さと赤い服に相関があるのか、それとも陽気さと赤い服に相関があるのか、そのすべてなのか、区別できないなら意味がないと思いませんか?5つの指標で性格を表現するというのは、あまりに大雑把すぎると思うのです。

 

問題意識の例2

ビッグファイブの分布のクラスターが4つになったみたいな話もありますが、5次元の分布をクラスターにするってのは、人の性格をクラスターにする場合、次元が小さすぎだと感じます。例えば、

神経症傾向と外向性が高い
開放性が低い

などと言われても、具体的な人物像がイメージできないんですよね。「気分の浮き沈みが激しくてメジャーな趣味を持ってるような人かな?」って程度にしか思い描けない。我々はサイキックでもなければメンタリストでもないので。

 

問題意識の例3

大雑把さによる弊害は、個人の性格の原因を探るときにもありそうです。例を上げましょう。外向性の原因の一つはドーパミンの影響の受けやすさだ、みたいな話がありますが、ドーパミンは同時に、衝動的な行動(誠実性の構成要素)や好奇心(開放性の構成要素)とも関係があることが指摘されています。ビッグファイブは明らかに、性格の原因の記述に向いていないんですよね。

その点、Big30を使えば、因果関係のかなり改善される可能性があります。ドーパミンの例だと、ここからは完全な作り話ですが、「外向性の中でも活動的or社交的かどうかだけにドーパミンの放出条件の閾値の影響が強くみられ」「誠実性の中でも衝動的か計画的かといった要素が、脳のどこそこの部位の細胞がもつ受容体の密度と関係し」「誠実性の中でも自己効力感や達成努力が、ドーパミンの生産量の多さと関係があり」「好奇心の強さは細胞外に放出されたドーパミンの回収速度と関係する」みたいなことが判明するかもしれません。繰り返しますが、作り話ですよ?誤解なきよう。

 

 

 

 

Big30の因子を列挙

ビッグファイブ (心理学) - Wikipediaにしたがって、開放性・誠実性・外向性・協調性・神経症傾向をそれぞれ6つの因子に分解します。ネーミングがWikipediaとは違ったりしますが、私が主観的に、「こっちの方が分かり易いよね?」って思った方向で変更しています。文句があるならWikiなり元ネタの論文なりを自分で当たりなさい。

Big30ってのは、この記事における言葉であって、一般的・慣習的な言葉ではありませんので。

 

元開放性

1,新しい経験への開放性:新しい経験をどの程度求めるか

2,芸術的興味:芸術的活動・創造的活動にどの程度興味があるか

3,情動性:自分の感情にどの程度自覚的か

4,想像力:空想的な意味の想像力がどの程度強いか

5,知的体験への開放性:新鮮に感じる情報・考え方・抽象的な概念への興味の強さ

6,組織からの個人的自由を重視する傾向:伝統や権力をどの程度重視するか

 

元誠実性

7,達成意欲:現状に満足している方か、目標を持ってその達成のために努力する方か

8,慎重さ:決断するときにどの程度慎重か

9,従順さ:規則や義務を守ろうとする傾向

10,秩序性:組織の必要性を感じたり組織のために行動する傾向

11,意思の持続性:難しいことやしんどいことに直面した時どの程度粘るか

12,自己効力感:工夫や努力次第できっとやり遂げられる、と(根拠が弱くても)信じる感覚の強さ

 

元外向性

13,活発さ:どの程度忙しい状態を好むか

14,自己主張の強さ:自己主張の強さ

15,陽気さ:楽しさをどの程度分かち合いたがるか

16,刺激希求性:リスクや五感への刺激の強さをどの程度求めるか

17,友好性:どの程度人と打ち解けやすいか、心許すことに満足するか

18,社交性:どの程度人と一緒にいることを求めるか

 

元協調性

19,利他的傾向:自分以外の人ために時間や労力を使うことに、どの程度満足するか

20,協働性:意見が対立する(しそうな)ときに、どの程度対立を避けたがるか

21,謙虚さ:自慢げか控え目か

22,道徳性:目的のために自分以外の人を犠牲にすることに、どの程度ためらうか

23,共感性:冷酷か親身になるか

24,信用性:人の善意をどの程度無条件に信じるか

 

神経症傾向

25,激情性:思い通りにいかなかったときに、どの程度激しく感情が高ぶるか

26,心配性:心配しがちな傾向

27,悲観的傾向:悲観的な傾向

28,快楽主義的傾向:欲望を強く感じたり退屈を嫌ったりする傾向

29,自意識の強さ:他人が自分をどう思うかを気にする傾向

30,傷つきやすさ:ストレスフルな状況でどの程度落ち着いているか